
介護の中で、食事や水分と同じくらい悩みが深くなりやすいのが排泄ケアです。プライバシーや尊厳に関わるため、本人も家族も戸惑います。
ここでは、私が母の介護で実際に経験したこと、失敗から学んだ工夫、そして専門家に助けてもらって楽になったことをまとめました。誰かの「今」にそっと寄り添えますように。
・母はもともと便秘症で、介護が始まる前から便秘薬を服用。食事量が減った時に「薬を飲ませてよいのか」迷ったり、薬が効かずに夜に浣腸を買いに走ったり…慌てることが何度もありました。
・浣腸後でもすっきりしない様子で、うまくいかずに浴槽や廊下が汚れてしまう「大惨事」も。私も思わず叱ってしまい、父に「そんなに怒るな」と制されたことがあります。今思えば、母もつらく、私も必死でした。
・排尿は徐々に失敗が増え、最初は尿漏れショーツ。やがてデイサービスの勧めで紙おむつへ。紙おむつは受け入れてくれましたが、パッドはゴワゴワが嫌で外してしまうことも。
・外出や車移動ではにおいに気づいて慌てて帰宅したことも。準備不足や工夫不足を痛感し、少しずつ「段取り」を整えました。
便秘は「生活の工夫」+「薬の使い方」+「相談」の掛け合わせで、無理なく改善を目指します。
・水分:目安は1日1.2~1.5L(心不全・腎臓疾患などで制限がある場合は医師指示を優先)。
常温の水、白湯、麦茶、スープ、ゼリー飲料など「飲みやすい形」を。
・食事:水溶性食物繊維(海藻・オートミール・果物)、発酵食品(ヨーグルト・味噌・漬物)、適度な油(オリーブオイル)を少量ずつ。食欲がない日は無理をせず「一口から」。
・リズム:朝食後など毎日同じ時間にトイレを試す/便座に浅く座り足台で膝を少し高く(いきみやすい姿勢)。
お腹ののの字マッサージや短い散歩も便意を促します。
・薬の使い方:
・刺激性下剤は連用で効きにくくなることも。
・便をやわらかくする薬(酸化マグネシウム等)や整腸薬の選択は医師・薬剤師に相談を。
・どうしても苦しいときの坐薬・浣腸は「助けが必要な合図」。夜間は119の相談や各自治体の#7119(救急相談・実施地域のみ)も検討を。
・種類とサイズ選び:パンツ型/テープ型/吸収パッドなど、体型・動作に合うものを。
合わないとゴワつき・漏れ・不快感の原因に。試供品や少量パックで試して選ぶのがおすすめ。
・装着のコツ:ギャザーを立て、股ぐりに沿わせる/シワをのばす/前後位置を確認。
パッドは切らずに(漏れの原因)薄型・肌ざわり重視で。
・トイレ誘導:食後や就寝前など時間を決めて誘導。
服はウエスト総ゴム・前開きで着脱を楽に/夜間は足元灯・手すりで安全性を。
・外出・車内の備え:防水シート、替えおむつ・パッド・おしり拭き・手袋・消臭袋の「おでかけセット」を常備。
・拭き方:こすらず押さえて拭く。可能ならぬるま湯で洗って優しく乾燥。
・保護:排泄後は皮膚保護クリーム(バリア)を薄く。
蒸れはこまめな交換と通気で予防。
・サイン:赤み・ただれ・痛みが続く/においが急に強い→早めに受診。
うまくいかない日もあります。私も焦って叱ってしまった日がありました。でも、本人が一番つらい。
「大丈夫、一緒にやってみよう」と声をかける/深呼吸して一息つく/プロに頼る。それだけで、介護はぐっとやさしくなります。
・便秘:3日以上出ない+腹痛・嘔気・発熱/硬い便・出血/便秘と下痢を繰り返す。
・排尿:排尿痛・発熱・濁り・頻尿・強いにおい(尿路感染の可能性)。
・まずはかかりつけ医へ。必要に応じて消化器内科/泌尿器科。日々の調整はケアマネ・看護師・薬剤師に気軽に。
・□ 水分はこまめに(目安1.2~1.5L/医師の指示があれば優先)
・□ 食物繊維・発酵食品・適度な油を少しずつ
・□ 朝食後など決まった時間にトイレへ/足台を使う
・□ おむつ・パッドは体型と好みに合うものを試して選ぶ
・□ 皮膚は「押さえ拭き」+保護クリーム+乾燥
・□ 外出は「おでかけセット」(替え・防水・消臭袋)
・□ つらい時は無理をせず、医療・介護の専門家に相談
排泄ケアに「正解」は一つではありません。本人の心地よさ、家族の続けやすさ、そしてプロの知恵を合わせて、わが家のやり方を見つけていけば十分です。
うまくいかない日があっても大丈夫。一人で抱え込まず、助けを借りながら、今日を越えていきましょう。
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