95歳の父が補聴器を使えなかった理由は、耳ではなく脳の機能低下でした。聴力と脳の関係、家族にできるサポートの大切さを体験からお伝えします。

耳が遠いのは耳のせいだけじゃない? 補聴器が合わなかった95歳の父から学んだ“聞こえ”と脳の関係

父の“聞こえ”の悩みから始まった試行錯誤

現在95歳になる父は、数年前から耳が聞こえにくくなり、最近では会話が難しいほどになってきました。


最初の頃は病院には行かず、通販で購入できる集音器を試していました。おそらく「病院に行くよりも気軽で、すぐ手に入る」という理由からだったのでしょう。


しかし、集音器は医療機器ではないため、父の耳には合わず、「これはダメだ」と次々と買い替え…。気づけば使わない集音器が引き出しにいくつもたまっていました。


補聴器との長い付き合い

半年ほど前、ようやく近所の眼鏡店で補聴器を作ることに。耳型をとり、自分の耳に合わせた補聴器が完成しました。


ところが「自分の声が耳の中で響いて、とても装着できない」とのこと。店員さんからは「慣れが必要」と説明を受けましたが、どうしても受け入れられず返品してしまいました。


それからも、父は広告を見つけては漢方薬や新しい集音器を試し、最近ではヘッドホンタイプまで検討していました。


意外な診断結果――原因は耳ではなく脳

先日、再び補聴器が気になった父と一緒に眼鏡店へ。私はこれまでの経緯や病院で聞いた「装着にはリハビリが必要」という説明を店員さんに伝えました。


その上で聴力検査を行ったところ、驚く結果が…。


「聴力は確かに低下していますが、それ以上に脳の機能が落ちています。残念ながら、補聴器を付けても改善は難しいでしょう。」


私は意外な答えに驚きました。聴力低下は耳の問題だけでなく、脳の衰えが原因の場合もあるという事実。そしてそれは、補聴器では解決できないのです。


聴力低下と脳機能低下の関係

近年の研究では、聴力低下があると認知症の発症リスクが上がることが分かっています。理由のひとつは、音や会話の刺激が減ることで脳への情報入力が減り、脳の活動が低下するからです。


つまり「耳が聞こえにくい=耳だけの問題」と思いがちですが、実際には脳の働きにも影響している可能性があります。


家族ができるサポートと心構え

  • 病院での早期受診と、耳・脳の両方のチェック
  • 聞こえやすい環境づくり(テレビの音量、話す位置や速度)
  • 会話や交流を意識的に増やし、脳への刺激を保つ
  • 「もう年だから仕方ない」という気持ちに寄り添いながらも、希望を持てる工夫を提案する


まとめ――歳を重ねても心を閉ざさないために

父は診断を聞いて「もう死ぬのを待つしかない」とぽつりと言いました。


しかし父は95歳の現在も介護の手を借りることもなく、普通食を自分で食べることができるし、お風呂も自分で入られる。そして、スポーツジムへ行ってウォーキングマシンを使うこともできる。


その父が発した言葉はとても切なく、私も胸が痛みました。


加齢による機能低下は避けられませんが、衰えを最小限にする努力はできます。聞こえの問題は生活の質だけでなく、心のあり方にも大きく影響します。


これからも、父が「自分は大切にされている」と感じられる時間を、一日でも多く持てるように寄り添っていきたいと思います。





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